阿寺断層帯
中津川市から下呂市北部にかけて長さ約70kmに及ぶ活断層です.大局的には北東の阿寺山地側隆起,左横ずれセンスを持っています.断層帯は北部の萩原断層と阿寺断層をはじめとする南部が別個に活動すると考えられており,南部の約60kmが一括して活動した場合,マグニチュード7.8程度の地震が発生すると考えられています.
断層地層標本(剥ぎ取り)の作製方法
活断層の活動を評価するためには、地面を掘り、断層(地面のずれ)を露出させて、ずれの量などを測定します。断層が露出している部分を標本にしたものが、断層地層標本(剥ぎ取り)です。
断層地層標本は、
①断層を確認して剥ぎ取る部分を選定
②露出している部分を専用の接着剤で固めて剥ぎ取り
③剥ぎ取った部分を整形して完成です。
活断層剥ぎ取り断面の展示(センター入口)
この展示は岐阜県東部を走る活断層,阿寺断層の剥ぎ取り断面です.中央の赤いドットが活断層であり,5層から2b層までを変位(食い違い)させる様子がわかります.2b層上位の2a層も撓む変形を受けていますが,1b層と1a層はこれを素直に覆います.したがって2a層堆積以降,1b層堆積以前に阿寺断層が活動し,地面の食い違いが生じたことがわかります.
地層中に含まれる木片や炭の年代を測定した結果,1b層の年代は約300年前,2a層の年代は約2000年前でした.このことから最後の断層活動は,現在から約2000年前以降,約300年前以前に活動したと考えられます.活断層調査では,このような方法から過去の最新活動時期,活動間隔を調べ,次の活動が迫っているのか,しばらく安全なのかを調査していきます.
活断層剥ぎ取り断面の展示(1階展示室内)
特徴が異なる地層の境界部分が断層です。この違いは断層が変位したことで出来ました。また、断層によって変位した堆積物と変位していない堆積物の年代から、断層がいつ頃活動したのかもわかります。